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Gombessa

植物や昆虫などの生物は和名を表記するように心掛けている。その、同定については、「当たらずといえども遠からず」を目標にしている。

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コセンダングサの餌食になったナツアカネの雌

2015年10月4日、コセンダングサ(小栴檀草)の餌食になった赤とんぼを見た。
赤とんぼは、ナツアカネ(夏茜)の雌だった。
年に一度、秋口にだけしか訪れないフィールドでのことであった。


ナツアカネの雌

画像 1 コセンダングサの餌食になっている赤とんぼ ナツアカネの雌と判明 


コセンダングサは、キク科センダングサ属の植物。けっして、食虫植物ではない。通称、泥棒草(どろぼうぐさ)と呼ばれる植物の一種。
泥棒草の代表格で何処にでも繁茂している厄介ものである。
コセンダングサの果実(痩果)は、棘が銛状の鉤になっていて、獣毛やヒト(人間)の被服に逆刺が食い込むようになっている。
本来、そうして、動物に果実(種子)を新天地に運んでもらい、何処へでも侵出してきた植物である。
ところが、運搬役には適任でない赤とんぼの翅に刺さってしまったのであった。

コセンダングサの餌食になっているナツアカネの雌は、右の前翅と後翅がコセンダングサの棘に捉えられていた。




画像 2 ナツアカネの顔面 

今までに、生きているナツアカネの近接画像は撮ったことがなかった。
それと、ナツアカネは観念してか、おとなしくしていた。
そこで、記録撮影をすることにした。

先ずは、頭部正面から。いわゆる顔面を撮ってみた(画像 2 )。
写っている主な部品は、左右の複眼、前額、頭楯、唇。他に額隆部も写っている。
額隆部には単眼が3個、触角が1対、写っているはずだが、この画像では見づらい。
複眼は背面側と腹面側で別のものように見える。 背面側は茶色に見える。腹面側は、単色でなく、緑色にも黄色にも見える。画像から判断すると、時によって、偽瞳孔状の物が見えるのは腹面側の複眼であることが判る。




画像 3 ナツアカネの頭部・背面側より 

背面側からの頭部の画像では、触角、背面側の複眼が確認できる。 また、後頭三角と、角度的に不明瞭だが、複眼の後側縁と、腹面側の複眼も確認できる(画像 3 )。
虎縞模様の襟巻きのように見える複眼の後側縁の役割は不明だが、後頭三角は重要な役割がある部位である。特に雌の場合はなくてはならないものである。

後頭三角は雄と連結する時に、雄の腹端部の付属器が挟んで押さえつける場所である。
こんな狭い場所にぴたりと、雄の腹端部の付属器が納まるのだから、連結の初期動作は優れた技だと思う。
それも、飛行中に、連結になるのだから、蜻蛉の飛行術は素晴らしい技術である。
恐らく、不均翅亜目の蜻蛉は、科が違っても、似たかよったかの連結方法をするのだと思う。
数種類の蜻蛉しか確認していないが、トンボ科は、種が違っても、後頭三角があるようだ。
また、後頭三角の表記は、「後頭部三角形」というのもある。なお、横文字では、”occipital triangle”と表す。




画像 4 ナツアカネの腹端部・背面側より 

雌の腹端部の付属器は尾毛と呼ぶ(画像 4 )。
この蜻蛉、腹端部に尾毛があるので雌と判った。




画像 5 ナツアカネの胸部と頭部・右側面側より 

胸部側面の第一側縫線(だいいちそくほうせん)に沿う黒条(黒色の帯状の模様)の先端の形状が、ナツアカネと物語っていた(画像 5 )(※1 )。
ナツアカネは、第一側縫線に沿う黒条の先端の形状が、角ばって止まる。 紛らわしい蜻蛉に、同属のアキアカネ(秋茜)がいる。アキアカネは、第一側縫線に沿う黒条の先端の形状が、尖りながら途切れる。
話が逸れてしまったが、ナツアカネとアキアカネの識別は、第一側縫線に沿う黒条の先端の形状の違いが容易なようだ。




画像 6 後翅が開かないので飛べないナツアカネの雌 

おとなしくしているナツアカネの雌の簡易撮影が済んだので、逃がしてあげることにした。
別ブログの「不運なアキアカネ(秋茜)のメス 」では、コセンダングサの餌食になっている赤とんぼはアキアカネだった。
9月23日の観察だが、この時は、周囲のコセンダングサの果実に阻まれて、逃がすのは無理だった。
今回は周囲にコセンダングサの果実がなかったので、不器用な指で、ナツアカネのコセンダングサの果実からの解放を試みた。




画像 7 後翅にコセンダングサの痩果の棘が刺さっていた 

どうにか、コセンダングサの果実から解放してあげたのだが、飛ばなかった。
前翅は開いたのだが、後翅が閉じたままだった(画像 6 )。
よくよく見ると、左右の後翅が閉じた状態で、コセンダングサの痩果の棘が左右の後翅を貫通して刺さっていた(画像 7 )。
私の不器用な指で、コセンダングサの果実から解放した際に、1個の痩果が花床から離れてしまったようだ。

ピンセットでもあれば好かったのだが、道具類はないので、再度、不器用な指で棘を除去した。
すると、今度は後翅も開けたので、ナツアカネの雌は一目散に飛び去った。
ぼろぼろで、穴だらけの翅でも、何事もなかったように飛んだのであった。



ナツアカネ(夏茜 )
トンボ目 トンボ亜目 (不均翅亜目) トンボ科 アカネ属
Sympetrum darwinianum




※1 胸部側面の第一側縫線
第一側縫線など胸部側面については、別ブログだが、「早死にしたナツアカネ 未成熟のオス」に「肩縫線」(けんぽうせん)とともに記してある。画像 6「参考画像 ナツアカネの胸部側面」も参考になる。




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