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Gombessa

植物や昆虫などの生物は和名を表記するように心掛けている。その、同定については、「当たらずといえども遠からず」を目標にしている。

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ネキトンボは連結打水産卵

2017年9月11日、ネキトンボ(根黄蜻蛉)を知った。
観光旅行で訪れた地だが、照葉樹や常緑樹が目立つ如何にも温暖地と思える場所だった。 蝶のアオスジアゲハ(青条揚羽)が当たり前に飛び、ミンミンゼミ(ミンミン蝉)がまだ盛んに鳴いていた。
いつも散歩しているフィールドでは、アオスジアゲハは稀に姿を見るくらい。ツクツクボウシ(つくつく法師)はまだ盛んだが、ミンミンゼミは既に聞こえなくなっている。

狭い池(水槽)を覗き込むと、真紅に思える蜻蛉が数匹飛び回っていた。
その姿を見て、てっきり、ショウジョウトンボ(猩猩蜻蛉)と思った。間もなく、連結が産卵飛行をしているのが目に付いた。

連結打水産卵を目の当たりにして疑問が生じた。私の知るショウジョウトンボは単独打水産卵。雄の警護は、あったり、なかったりである。
そして、次の疑問。連結の後の雌の腹部背面が赤色だったこと。
初めは一組の連結が産卵していたが、直ぐに、二組加わり、三組の連結が狭い水面上を入り乱れて、産卵飛行をしていた。どの組の雌も腹部背面は赤色だった。赤色と赤色の連結が異様に見えた。
私の知るショウジョウトンボの雌は、産卵のため水面近くを飛ぶ姿は、背面の色合いからウスバキトンボ(薄翅黄蜻蛉)と思い違いをしてしまうような色をしている。

もっとも、ウスバキトンボは、飛行しながら連結となり、そのまま交尾、産卵する。それも、水溜りだけでなく、自動車のガラスや屋根にも産卵する猛者である。
観察経験は少ないが、ウスバキトンボはいつも連結だ。まだ、単独産卵を見たことはない。

話しが逸れてきたが、産卵飛行しているショウジョウトンボの雌は、背面から見ると、ウスバキトンボに見間違えるような色をしているのである。
ところが、この日見た連結の後尾の雌は背面から見ると赤色だったので、現地で疑問が湧いたのであった。




画像 1 雌を待つネキトンボの雄 脚は黒色 

帰宅後、ボケとブレの画像から、雄の背面は紅色。翅の基部も紅色。雌の背面は、薄い赤色。そして、翅の基部は橙色だった。
明らかにショウジョウトンボでないことは判ったが、正体は不明だった。
連結産卵飛行の画像の中に、雌の胸部側面が黄色。そして、胸部側面にくっきりと黒条の写っている画像があった。
そして、胸部側面のくっきりとした黒条から、ネキトンボであることが判った。

ネキトンボと判ってしまえば、脚部の色の違いでショウジョウトンボと区別できた。
見慣れているショウジョウトンボの雄の脚は緋色。初めて見たネキトンボの脚は黒色だった。




画像 2 ネキトンボ 雄の翅胸側面に太い黒色条 

ネキトンボとショウジョウトンボの簡易識別法と違いについて。
次に出遭うことはないかも知れないが、大宝恵として、簡易識別法と違いについて記しておくことにした。
成熟した雄と雌の、それぞれのワンポイント。それと、産卵の形態の違いにつて。
それぞれのワンポイントは下の表に。
そして、違いにつて。
両種はトンボ科に属するが、アカネ属とショウジョウトンボ属の違いがあること。
 
ネキトンボ ショウジョウトンボ
脚が黒色 脚が緋色
翅胸側面に太い黒色条 翅胸側面に黒色条なし
産卵 連結(基本) 単独
アカネ属 ショウジョウトンボ属










画像 1 では、翅に隠れ胸部側面が不明瞭だが、画像 2 を確認すると、雄にも翅胸側面に太い黒色条があることが判る。
それと、画像には黒色の脚が写っている。

ネキトンボの産卵は、連結飛行で打水産卵。連結産卵中に連結を解き、単独産卵に移行することもある。とのことだが、1度だけ、それも数分間の観察だったので、連結産卵しか見ていない。

それと、違いについて。
前述したが、ネキトンボはトンボ科アカネ属。いわゆる赤とんぼの仲間である。
そして、ショウジョウトンボはトンボ科ショウジョウトンボ属。国内では、1属1種のようである。

観光旅行で、ネキトンボという、トンボ科アカネ属の存在を知ることができた。好い旅の思い出ができた。
残念だったのは、雌雄の連結飛行や、連結打水産卵などの画像が、まともに撮れなかったことである。

ネキトンボ(根黄蜻蛉 )
トンボ目 トンボ亜目 (不均翅亜目) トンボ科 アカネ属
Sympetrum speciosum speciosum
種としては、Sympetrum speciosumだが、学名では亜種となる。
別の亜種としてタイワンネキトンボ(Sympetrum speciosum taiwanum)があるとのこと。
この先、タイワンネキトンボにお目にかかることはないと思う。

以上は2017年9月16日に書いた記事だが、事情で公開しないままでいた。
月日も経ち、多少落ち着いてきたので、記事を公開することにした。




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アラゲハンゴンソウ blackeyed Susan

アラゲハンゴンソウ(荒毛反魂草・粗毛反魂草)
キク科オオハンゴンソウ属
Rudbeckia hirta var. pulcherrima
別名 キヌガサギク
原産地 北米大陸(※1)  
米国別名 blackeyed Susan




画像 1 アラゲハンゴンソウ ・blackeyed Susan 


アラゲハンゴンソウの初見は昨年(2012年)の6月のこと。対岸の下流側で、ホソバハルシャギク(細葉波斯菊)の探索中のことだった。
オオキンケイギク(大金鶏菊)と並んで咲いている黄色い花が目に付いた。オオキンケイギクとは趣が違ったので、余計に目に付いたのかも知れない。単眼鏡を覗いても、オオキンケイギクとは別の花としか判らなかった。
気になったので、装備を改めて、観察に出向いた。総苞片・茎・葉と、毛深い植物だった。舌状花は黄色だが、管状花(筒状花)の花床が濃い茶色で、円錐形や半円形をしていた。管状花も黄色だが、小さいので目立たないようだ。
Webで調べたが、毛深いのと、頭状花の様子で、簡単に、アラゲハンゴンソウと判った。

生えていたのは、降水量が100mmを越えると立ち入り禁止になる所だが、通常の増水では冠水しない場所。流れ着いた種子が根付いたとも思えない。そんなことで、興味も湧かず、その後、継続観察をすることはなかった。
それと、この場所、犬の糞の多い所なので、肘や膝を着く植物観察には適さない場所でもあった。




画像 2 茎も葉も毛が目立つ 




画像 3 茎の開出毛。縦方向の溝も特徴か? 




画像 4 蕾・総苞片の毛の様子 




画像 5 蕾・総苞片の毛の様子 




画像 6 茎上部と、総苞の毛の様子 



年が変わり、今年(2013年)の4月。アラゲハンゴンソウのことは忘れていたが、オオキンケイギクの根生葉の様子を見に、10箇月ぶりに、対岸へ出かけた。こちら岸でも、4kmほど下流へ行くと、オオキンケイギクの観察はできるのだが、対岸の場所のようにはちょこっとは行けない。
オオキンケイギクの根生葉はしっかり成長していた。が、オオキンケイギクの観察よりも、枯れ残って、ドライフラワー化した果実の存在に心惹かれてしまった。



画像 7 枯れ残った果実 




画像 8 枯れ残った果実 


10箇月ぶりに訪れたので、夏以降の経過がまったく分からない。昨年あった植物のことを思い出し、枯れ残った果実の形状と、アラゲハンゴンソウの花床の形状が似ているように思われた。
また、茎の縦方向の溝も確認できた。それらのことから、枯れ残って、ドライフラワー化した果実はアラゲハンゴンソウであろう。と、推理した。
確認するためには、アラゲハンゴンソウの花後の変化を観察しなくてはならない。と、思った。

それから、4箇月。対岸へは一度も行っていない。そんな時、こちら岸で、明らかに流れ着いたであろうアラゲハンゴンソウの存在に気付いた。
そこで、事のついでなので、対岸の少し下流で見たアラゲハンゴンソウの記録を、「どんぶらこ」カテゴリの記事の覚えとして記しておくことにした。

画像 2 ~ 6 に写っているように、茎・葉・総苞片の毛が顕著である。
画像 2 、画像 5~ 6 に余分なものが写っているが、チガヤ(茅萱)の絹毛(綿毛)のようである。

米国の別名 blackeyed Susan について。
Susan は、何を意味するのか不明だが、女性名と思われる。blackeye は、花床の部分であろう。アラゲハンゴンソウをちょっと離れた所から見ると、小さな管状花の黄色が見えなくなる。ちょっと離れた位置から見た姿を blackeyed Susan になぞらえたものであろう。
管状花がすべて咲き終えた直後の舌状花だけ残った姿も、まさに、 blackeyed Susan と思われる。

※1 北米大陸の自生地については、USDA PLANTS の Rudbeckia hirta var. pulcherrima に詳しい。

オオタバコガとハスモンヨトウの幼虫

10月13日、北西風がひんやりとする日。気が向いたので外出してみた。
電車を降りて、初めての場所を訪れてみた。
目的地に向かう道端にマルバルコウ(丸葉縷紅)・Ipomoea coccinea の花が目立った。小振りの花だが、花冠のオレンジ色が、ちょっと離れたところからも眼を惹いた。
帰路にマルバルコウの花でも撮影しようと思いながら、目的地を目指した。

目的地を確認した後、気の向くままに移動した。川沿い(もしかしたら用水沿い)に、マルバルコウが咲いていた。薄紫色のアサガオ(朝顔)・Ipomoea nil も咲いていた。それと、見慣れた、マルバアメリカアサガオ(丸葉亜米利加朝顔)・Ipomoea hederacea var. integriuscula も咲いていた。

マルバアメリカアサガオと思ったものは、葉が丸葉でなく、ヘデラセア葉だった。初見のアメリカアサガオ(亜米利加朝顔)・Ipomoea hederacea  であった。

その、アメリカアサガオの花筒の中に虫が見えた。青虫系の幼虫だ。


画像1  アメリカアサガオの花筒の中に虫が見えた
先ずは、開花前、蕾の状態で、一かじりされた食痕の残る花冠。この花筒に頭を突っ込んでいるのは、日ごろ眺めている、覚えたての、オオタバコガの幼虫によく似ていた(画像1)。

次に、別の花筒に頭を突っ込んでいるのは、これも、覚えたてで、日ごろ眺めているハスモンヨトウの幼虫のようだった(画像2)。
この日の朝、我が家で見たハスモンヨトウの幼虫が、「尻近く、背面の三角模様」だった。よく似ていた。


画像2  別のアメリカアサガオの花筒にも虫が見えた
撮影の都合で、花筒から出てもらった。そしたら、私の見ている前で脱糞した(画像3)。
「襟巻きのような黒色の模様」が確認できたので、ハスモンヨトウの幼虫と判った。


画像3  見ている前で脱糞


画像1 の虫は、花筒に頭を突っ込んだまま、まだ食事中だった(画像4)。


画像4  画像1 の虫。まだ食事中
この虫も、撮影の都合で、花筒から出てもらった。
踊るようなしぐさが、10月3日の記事「マルバアメリカアサガオを訪れた虫たち」・http://gombessa.sugo-roku.com/Entry/18/の「マルバアメリカアサガオを食べたオオタバコガの幼虫」を連想させ、毛(刺)の生え具合が、まさに、オオタバコガの幼虫だった(画像5~6)。



画像5  花筒から出てもらった




画像6  花冠の外へ移動した
トリミングした画像を眺めると、頭部と上半身(?)の毛(刺)に花粉が目立った(画像7)。



画像7  花粉が目立つ
初めて訪れたの場所で、初めて、アメリカアサガオ(亜米利加朝顔)を見たときの大宝恵(おぼえ)。
物指しを持っていなかったのと、ついでの撮影と観察だったので、体長は測定しなかった。

マルバルコウの花は別記事として記すかも知れない。

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