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Gombessa

植物や昆虫などの生物は和名を表記するように心掛けている。その、同定については、「当たらずといえども遠からず」を目標にしている。

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我が家に泊まったウスバキトンボの雌

2017年8月26日の夜、ウスバキトンボ(薄翅黄蜻蛉)がとまっていることに気付いた。
昨年のエノコログサ(狗尾草・狗児草)の枯れ残った茎にウスバキトンボがとまっていたのだ。
その日のフィールドワーク(散歩)で疲れていたのと、翌日のフィールドワークも控えているので早寝をするつもりだった。
そして、表で就寝前の一服。そしたら、夜目が利く訳ではないが、放置した状態の鉢のひとつに違和感を覚えた。
そこには、体長の割りに、翅長のある蜻蛉の影があった。
疲れていて、眠いが、観察撮影をすることになった。
夜で、ピントが合わないので、補助光を用意して、どうにか撮影した。とまっているのは、ウスバキトンボの雌だった。



画像 1 睡眠中のウスバキトンボの雌 




画像 2 睡眠中のウスバキトンボ 別のカメラで別角度から 


明朝には飛び立ってしまうのだろうから、記録撮影をするために、一晩泊まってもらうことにした。
ウスバキトンボには、とんでもない迷惑なことだったろう。

そして、8月27日。フィールドワークへ出かける前に記録撮影をした。

撮影の前に各部を採寸した。
その結果は、
    腹長 33mm
    全長 49mm
    後翅長 42mm
    前翅長 44mm
だった。



画像 3 右側面 胸部と頭部 複眼はツートン 




画像 4 ウスバキトンボ雌の左側面 翅を除く 




画像 5 ウスバキトンボの雌の顔面 




画像6  前胸背面、首、後頭部 




画像 7 腹端部腹面 尾毛、産卵弁など 




画像 8 ウスバキトンボ雌の腹面側 


撮影が済んだので、マルバアメリカアサガオ(丸葉亜米利加朝顔)の葉にとまらせて解放した。
マルバアメリカアサガオにとまる姿の記念撮影をするつもりだったが、撮影の準備をする間もなく、ほんの数秒で飛び去ってしまった。




ウスバキトンボ(薄翅黄蜻蛉)
トンボ目 トンボ亜目 (不均翅亜目) トンボ科 ウスバキトンボ属
Pantala flavescens
漢字表記は、薄翅黄蜻蛉の他に、薄羽黄蜻蛉もあるようだ。





参考までに、8月21日に所用で移動中に拾った雌の死骸の各部の長さ。
    腹長 31mm
    全長 48mm
    後翅長 39mm。後翅開長 81mm。
    前翅長 41mm。前翅開長 87mm。

もうひとつ、8月2日に発見した雄の死骸の寸法も記しておく。
    腹長 31mm
    全長 48.6mm
    後翅長 42mm
    前翅長 44mm
この雄は我が家で発見した。7月31日に片付けた場所で、8月2日に発見した。
8月1日の降雨時に雨宿りをして、そのまま息絶えたものと推測した。

    今年のウスバキトンボ
ウスバキトンボの飛来に気づいたのが7月6日。
群れ飛ぶウスバキトンボを眺めていて、交尾、産卵を目撃したのが、7月26日。

    参考 フィールドでのウスバキトンボ
フィールドではとまる姿を毎回のように撮影した。7月8日の初見から撮影を始めて、9月9日までは毎回のように撮影した。
ウスバキトンボはせっせと、餌捕りに飛び回っているので疲れるのだろう。眺めていると、直ぐに翅休めにとまった。
また、ヒト嫌いで、ほとんどの場合、彼の蜻蛉達が先にとまっている場合は、近付くだけで逃げ去ってしまった。

それと、時期によるのかも知れないが、ウスバキトンボは早寝であった。夕刻前、同じ枝に複数匹とまり仮眠体勢に入っていた。
もっとも、すべての場合が複数匹というわけでもなく、単独で、仮眠体勢に入っているものもあった。
ウスバキトンボ達にとって、仮眠に適した環境があるのだろう。




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コセンダングサの餌食になったナツアカネの雌

2015年10月4日、コセンダングサ(小栴檀草)の餌食になった赤とんぼを見た。
赤とんぼは、ナツアカネ(夏茜)の雌だった。
年に一度、秋口にだけしか訪れないフィールドでのことであった。


ナツアカネの雌

画像 1 コセンダングサの餌食になっている赤とんぼ ナツアカネの雌と判明 


コセンダングサは、キク科センダングサ属の植物。けっして、食虫植物ではない。通称、泥棒草(どろぼうぐさ)と呼ばれる植物の一種。
泥棒草の代表格で何処にでも繁茂している厄介ものである。
コセンダングサの果実(痩果)は、棘が銛状の鉤になっていて、獣毛やヒト(人間)の被服に逆刺が食い込むようになっている。
本来、そうして、動物に果実(種子)を新天地に運んでもらい、何処へでも侵出してきた植物である。
ところが、運搬役には適任でない赤とんぼの翅に刺さってしまったのであった。

コセンダングサの餌食になっているナツアカネの雌は、右の前翅と後翅がコセンダングサの棘に捉えられていた。




画像 2 ナツアカネの顔面 

今までに、生きているナツアカネの近接画像は撮ったことがなかった。
それと、ナツアカネは観念してか、おとなしくしていた。
そこで、記録撮影をすることにした。

先ずは、頭部正面から。いわゆる顔面を撮ってみた(画像 2 )。
写っている主な部品は、左右の複眼、前額、頭楯、唇。他に額隆部も写っている。
額隆部には単眼が3個、触角が1対、写っているはずだが、この画像では見づらい。
複眼は背面側と腹面側で別のものように見える。 背面側は茶色に見える。腹面側は、単色でなく、緑色にも黄色にも見える。画像から判断すると、時によって、偽瞳孔状の物が見えるのは腹面側の複眼であることが判る。




画像 3 ナツアカネの頭部・背面側より 

背面側からの頭部の画像では、触角、背面側の複眼が確認できる。 また、後頭三角と、角度的に不明瞭だが、複眼の後側縁と、腹面側の複眼も確認できる(画像 3 )。
虎縞模様の襟巻きのように見える複眼の後側縁の役割は不明だが、後頭三角は重要な役割がある部位である。特に雌の場合はなくてはならないものである。

後頭三角は雄と連結する時に、雄の腹端部の付属器が挟んで押さえつける場所である。
こんな狭い場所にぴたりと、雄の腹端部の付属器が納まるのだから、連結の初期動作は優れた技だと思う。
それも、飛行中に、連結になるのだから、蜻蛉の飛行術は素晴らしい技術である。
恐らく、不均翅亜目の蜻蛉は、科が違っても、似たかよったかの連結方法をするのだと思う。
数種類の蜻蛉しか確認していないが、トンボ科は、種が違っても、後頭三角があるようだ。
また、後頭三角の表記は、「後頭部三角形」というのもある。なお、横文字では、”occipital triangle”と表す。




画像 4 ナツアカネの腹端部・背面側より 

雌の腹端部の付属器は尾毛と呼ぶ(画像 4 )。
この蜻蛉、腹端部に尾毛があるので雌と判った。




画像 5 ナツアカネの胸部と頭部・右側面側より 

胸部側面の第一側縫線(だいいちそくほうせん)に沿う黒条(黒色の帯状の模様)の先端の形状が、ナツアカネと物語っていた(画像 5 )(※1 )。
ナツアカネは、第一側縫線に沿う黒条の先端の形状が、角ばって止まる。 紛らわしい蜻蛉に、同属のアキアカネ(秋茜)がいる。アキアカネは、第一側縫線に沿う黒条の先端の形状が、尖りながら途切れる。
話が逸れてしまったが、ナツアカネとアキアカネの識別は、第一側縫線に沿う黒条の先端の形状の違いが容易なようだ。




画像 6 後翅が開かないので飛べないナツアカネの雌 

おとなしくしているナツアカネの雌の簡易撮影が済んだので、逃がしてあげることにした。
別ブログの「不運なアキアカネ(秋茜)のメス 」では、コセンダングサの餌食になっている赤とんぼはアキアカネだった。
9月23日の観察だが、この時は、周囲のコセンダングサの果実に阻まれて、逃がすのは無理だった。
今回は周囲にコセンダングサの果実がなかったので、不器用な指で、ナツアカネのコセンダングサの果実からの解放を試みた。




画像 7 後翅にコセンダングサの痩果の棘が刺さっていた 

どうにか、コセンダングサの果実から解放してあげたのだが、飛ばなかった。
前翅は開いたのだが、後翅が閉じたままだった(画像 6 )。
よくよく見ると、左右の後翅が閉じた状態で、コセンダングサの痩果の棘が左右の後翅を貫通して刺さっていた(画像 7 )。
私の不器用な指で、コセンダングサの果実から解放した際に、1個の痩果が花床から離れてしまったようだ。

ピンセットでもあれば好かったのだが、道具類はないので、再度、不器用な指で棘を除去した。
すると、今度は後翅も開けたので、ナツアカネの雌は一目散に飛び去った。
ぼろぼろで、穴だらけの翅でも、何事もなかったように飛んだのであった。



ナツアカネ(夏茜 )
トンボ目 トンボ亜目 (不均翅亜目) トンボ科 アカネ属
Sympetrum darwinianum




※1 胸部側面の第一側縫線
第一側縫線など胸部側面については、別ブログだが、「早死にしたナツアカネ 未成熟のオス」に「肩縫線」(けんぽうせん)とともに記してある。画像 6「参考画像 ナツアカネの胸部側面」も参考になる。




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