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Gombessa

植物や昆虫などの生物は和名を表記するように心掛けている。その、同定については、「当たらずといえども遠からず」を目標にしている。

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登ってきていたアキアカネ

昨年の8月に蜻蛉観察と避暑を兼ねて訪れた山の湿地だが、予想していた通りでアキアカネ(秋茜)の越夏地でもあった。
 涼しくて心地好い場所なので、不定期だが通い始めた。そして、アキアカネが下りきるまで観察を続けることにした。観察は10月5日のメスの単独産卵が終見だった(*1)。

 今年はアキアカネに関しては初見から終見まで確認するつもりで気合を入れていた。そして、6月24日、アキアカネが登ってきているのを確認(撮影)できた。

 1週前の6月17日にアキアカネらしいトンボ科の蜻蛉を目撃したが、撮影に至らず確認できていなかった。執念で粘れば撮影できたのかもしれないが、運がなかったのだろう。
 アキアカネの羽化場所の野周りフィールドで6月16日が初見だったので、そんなに早く登ってこないという思い込みが強かったので執念深く確認することを怠ってしまった。
 それと、アキアカネなら1匹だけでなく、複数匹は来ているのだろうから、滞在中に他の個体に出遭えるのであろうという甘い思い込みもあった。

 1週前にそんなことがありトンボ科の蜻蛉を目撃し未確認のままにしたら、今回は明確に複数匹のアキアカネいたので、1週前の未確認が後悔になってしまった。




画像 1 アキアカネ ♀ 止まる直前、まだ脚を畳んで飛んでいる 




画像 2 アキアカネ 止まり始め、足を伸ばして止まり始めた  




画像 3 アキアカネ 全脚を使い止り、翅を下げた  


 画像1から3は4秒間の変化で、モデルのメスは同一個体。水滴の残る花柄に止まる様子が記録できた。画像1では目標物の直近まで脚を畳んで飛行。そして、画像2では目標物に到達して、脚を伸ばした。さらに、画像3が、いわゆる棹の先に止まる様子。

 どうでもよいことだが、画像1、2にはアキアカネの目標物であった花柄に水滴が付いているが、画像3では水滴は写っていない。蜻蛉が止まった振動か重量で水滴は落下したのであろう。
 なお、画像の右寄りに写る葉の水滴は変化がなかったようだ。




画像 4 アキアカネ 枝先に止まる ♀  


 画像 4 は別個体のメス。




画像 5 アキアカネ ♂  


 この山の湿地、昨年は8月から通い始めたので、梅雨時の6月の天気の様子は判らない。この日は、午前中は濃霧による視程障害の予報が出ていたが実際はさしたることがなかった。
 当日の梅雨前線の位置から素人判断で出かけたのだが、途中の観察場所でオジロサナエ(尾白早苗)の羽化を観察してしまったので、山への到着は遅くなってしまった。
 そして、霧の晴れ間に、既に登ってきていたアキアカネを確認でた次第であった。

 時々霧に覆われていたが、霧も流れるのでアキアカネと、アキアカネ以外の不均翅亜目の探索を続けた。
 霧の中で摂食飛行をする蜻蛉達は、恐らくはアキアカネなのだろうが、明確には確認できなかった。そんな時に、止まっているアキアカネのオスがいた(画像 5 )。

 しかし、霧の中に雨滴が混じるようになり蜻蛉探索を断念せざるを得なくなった。




画像 6 アキアカネ ♂  


 戻り道、画像 5 のオスは同じ場所に止まっていた。



   --- *1 高地に残留   
 アキアカネはすべてが里に下りるわけでなく、避暑地に残るものもいることが知られている。




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冒険者? アジアイトトンボ

2020年に山の観察地での3種目の蜻蛉はアジアイトトンボ(亜細亜糸蜻蛉)のオスだった。6月17日、小さな糸蜻蛉を発見。
 未知の糸蜻蛉ではないかと、わくわくしながらファインダを覗いたが、ローカルでも見られる、既知のアジアイトトンボのオスだった。 




画像 1 アジアイトトンボ ♂  


 


画像 2 アジアイトトンボ ♂は腹部第9節が水色をしている  


 イトトンボ科アオモンイトトンボ属のアジアイトトンボ、この山の湿地に定住しているとは思えない。果たしてどこからやって来たのだろうか。
 また、撮影場所から、画像の体勢はメス待ちの状態。いずれ、メスもやってくるのだろか。

 この稿を執筆している直近の訪問が9月の18日だが、初見日の6月17日以来一度も見かけていない。

   --- 追記 2020年10月10日
 アジアイトトンボを毎年観察している野周りフィールドの溜池での今年の初見は3月28日だった。
 もっとも、その日は当日羽化した未熟なメスだった。そして、4月3日に成熟した体色のオスを確認した。本稿の画像のような体色である。




越冬したホソミオツネントンボ。そして、産卵

6月5日にホソミオツネントンボ(細身越年蜻蛉)のオスを2匹確認した。ホソミオツネントンボは、昨秋に当日羽化の個体を確認しているので、この山で越冬した個体であろう。




画像 1 ホソミオツネントンボ ♂ 




画像 2 ホソミオツネントンボ ♂ 


 ホソミオツネントンボは成虫越冬する蜻蛉として知られている。アオイトトンボ科ホソミオツネントンボ属の蜻蛉で、同科のオツネントンボ(越年蜻蛉)とともに成虫越冬する。
 なお、イトトンボ科ホソミイトトンボ属のホソミイトトンボ(細身糸蜻蛉)も成虫越冬する。3種とも均翅亜目(イトトンボ亜目)のいわゆるイトトンボの仲間である(*1)。
 画像 1と、画像 2は同じように見えるが別個体。ともに、水際の草や枯れ茎で、ひたすらにメスを待っている姿である。




画像 3 ホソミオツネントンボ ♂ 謎の体操 


 帰り際にこの場所を覗くと、腹部の体操をしている個体がいた。謎の動きだが、交尾・産卵に備えてのイメージトレーニングのようなものなのであろう。 

 この日はメスの姿はなかったが、6月10日に連結産卵を確認。そして、7月2日には単独産卵を確認している。




画像 4 6月10日 連結産卵  




画像 5 産卵基質に産卵管を刺そうとするメス  


 6月10日には数組の連結産卵が見られた。よって、メスの姿も確認できた。
 ホソミオツネントンボの標準産卵モードは連結植物内産卵と呼ばれる。そして、産卵基質が水際や水中から生えている茎や葉の細めの植物。




画像 6 風で飛ばされそうになったホソミオツネントンボの連結 




画像 7 風でたなびく産卵基質に産卵中の連結。間もなくして飛ばされた 


 産卵を確認した6月10日は風が強く、全ての連結が産卵基質の植物(草の茎)から産卵途中で引き剥がされるように飛ばされていた。




画像 8 6月17日 ひたすらにメスを待つ 


 次に訪れた6月17日は産卵やメスの姿はなく、オスのひたすらにメスを待つ姿しか確認できなかった。




画像 9 7月2日 メスの単独産卵 


 そして、7月2日、メスの単独産卵を記録した。ちょっと離れていて不鮮明だが植物の葉に産卵している姿が記録できた。別角度からの撮影はできなかった。

 永年定住しているかどうかは不明だが、ホソミオツネントンボは、この山の観察地での定住蜻蛉で間違いないようだ。


   --- *1 参考   成虫で越冬する種
 均翅亜目では成虫で越冬する種が3種知られている。不均翅亜目では成虫越冬は知られていない。
オツネントンボ Sympecma paedisca (Brauer,1877)
 アオイトトンボ科オツネントオンボ属
ホソミオツネントンボ Indolestes peregrinus (Ris, 1916)
 アオイトトンボ科ホソミオツネントンボ属
ホソミイトトンボ Aciagrion migratum (Selys, 1876)
 イトトンボ科ホソミイトトンボ属





ニホンカワトンボ?

 雪も解けたと思い5月8日から偵察に出かけた山の観察地。蜻蛉の姿が見られたのが5月15日だった。
 昨年の8月から通い始めた山だが、2020年の初見蜻蛉はカワトンボだった。




画像 1 ニホンカワトンボ? ♀ 


 流れに沿って往復するように飛ぶ蜻蛉の影。もしや早苗蜻蛉の仲間ではなかろうか。と、期待して記録撮影の機会を待った。
 日の当たる場所で運良く記録撮影。止まった姿はカワトンボ。ファインダを覗く前は、場所的にアサヒナカワトンボ(朝比奈川蜻蛉)と思った。が、撮影した画像はニホンカワトンボ(日本川蜻蛉)のようだった。
 次に訪れた5月29日にも同一種と思われる個体が流れに沿って往復するように飛んでいた。が、止まった姿を撮影することはなかった。
 念のため、流れを下ってみたが、カワトンボも他種の蜻蛉も全く見かけなかった。

 2回だけの目撃で、複数の個体を確認していないので、定住しているとは思えないカワトンボ科の蜻蛉。明確な正体の確認は来年以降の課題となった。

 なお、ニホンカワトンボは平地の野周りフィールドでは4月4日に当日羽化の個体を観察。アサヒナカワトンボは山地の観察地で5月2日に目撃した。





ネキトンボは連結打水産卵

2017年9月11日、ネキトンボ(根黄蜻蛉)を知った。
観光旅行で訪れた地だが、照葉樹や常緑樹が目立つ如何にも温暖地と思える場所だった。 蝶のアオスジアゲハ(青条揚羽)が当たり前に飛び、ミンミンゼミ(ミンミン蝉)がまだ盛んに鳴いていた。
いつも散歩しているフィールドでは、アオスジアゲハは稀に姿を見るくらい。ツクツクボウシ(つくつく法師)はまだ盛んだが、ミンミンゼミは既に聞こえなくなっている。

狭い池(水槽)を覗き込むと、真紅に思える蜻蛉が数匹飛び回っていた。
その姿を見て、てっきり、ショウジョウトンボ(猩猩蜻蛉)と思った。間もなく、連結が産卵飛行をしているのが目に付いた。

連結打水産卵を目の当たりにして疑問が生じた。私の知るショウジョウトンボは単独打水産卵。雄の警護は、あったり、なかったりである。
そして、次の疑問。連結の後の雌の腹部背面が赤色だったこと。
初めは一組の連結が産卵していたが、直ぐに、二組加わり、三組の連結が狭い水面上を入り乱れて、産卵飛行をしていた。どの組の雌も腹部背面は赤色だった。赤色と赤色の連結が異様に見えた。
私の知るショウジョウトンボの雌は、産卵のため水面近くを飛ぶ姿は、背面の色合いからウスバキトンボ(薄翅黄蜻蛉)と思い違いをしてしまうような色をしている。

もっとも、ウスバキトンボは、飛行しながら連結となり、そのまま交尾、産卵する。それも、水溜りだけでなく、自動車のガラスや屋根にも産卵する猛者である。
観察経験は少ないが、ウスバキトンボはいつも連結だ。まだ、単独産卵を見たことはない。

話しが逸れてきたが、産卵飛行しているショウジョウトンボの雌は、背面から見ると、ウスバキトンボに見間違えるような色をしているのである。
ところが、この日見た連結の後尾の雌は背面から見ると赤色だったので、現地で疑問が湧いたのであった。




画像 1 雌を待つネキトンボの雄 脚は黒色 

帰宅後、ボケとブレの画像から、雄の背面は紅色。翅の基部も紅色。雌の背面は、薄い赤色。そして、翅の基部は橙色だった。
明らかにショウジョウトンボでないことは判ったが、正体は不明だった。
連結産卵飛行の画像の中に、雌の胸部側面が黄色。そして、胸部側面にくっきりと黒条の写っている画像があった。
そして、胸部側面のくっきりとした黒条から、ネキトンボであることが判った。

ネキトンボと判ってしまえば、脚部の色の違いでショウジョウトンボと区別できた。
見慣れているショウジョウトンボの雄の脚は緋色。初めて見たネキトンボの脚は黒色だった。




画像 2 ネキトンボ 雄の翅胸側面に太い黒色条 

ネキトンボとショウジョウトンボの簡易識別法と違いについて。
次に出遭うことはないかも知れないが、大宝恵として、簡易識別法と違いについて記しておくことにした。
成熟した雄と雌の、それぞれのワンポイント。それと、産卵の形態の違いにつて。
それぞれのワンポイントは下の表に。
そして、違いにつて。
両種はトンボ科に属するが、アカネ属とショウジョウトンボ属の違いがあること。
 
ネキトンボ ショウジョウトンボ
脚が黒色 脚が緋色
翅胸側面に太い黒色条 翅胸側面に黒色条なし
産卵 連結(基本) 単独
アカネ属 ショウジョウトンボ属










画像 1 では、翅に隠れ胸部側面が不明瞭だが、画像 2 を確認すると、雄にも翅胸側面に太い黒色条があることが判る。
それと、画像には黒色の脚が写っている。

ネキトンボの産卵は、連結飛行で打水産卵。連結産卵中に連結を解き、単独産卵に移行することもある。とのことだが、1度だけ、それも数分間の観察だったので、連結産卵しか見ていない。

それと、違いについて。
前述したが、ネキトンボはトンボ科アカネ属。いわゆる赤とんぼの仲間である。
そして、ショウジョウトンボはトンボ科ショウジョウトンボ属。国内では、1属1種のようである。

観光旅行で、ネキトンボという、トンボ科アカネ属の存在を知ることができた。好い旅の思い出ができた。
残念だったのは、雌雄の連結飛行や、連結打水産卵などの画像が、まともに撮れなかったことである。

ネキトンボ(根黄蜻蛉 )
トンボ目 トンボ亜目 (不均翅亜目) トンボ科 アカネ属
Sympetrum speciosum speciosum
種としては、Sympetrum speciosumだが、学名では亜種となる。
別の亜種としてタイワンネキトンボ(Sympetrum speciosum taiwanum)があるとのこと。
この先、タイワンネキトンボにお目にかかることはないと思う。

以上は2017年9月16日に書いた記事だが、事情で公開しないままでいた。
月日も経ち、多少落ち着いてきたので、記事を公開することにした。




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