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Gombessa

植物や昆虫などの生物は和名を表記するように心掛けている。そして、同定については「当たらずといえども遠からず」を目標にしている。

エゾトンボ? タカネトンボ?

2020年7月2日のこと。多くのアキアカネ(秋茜)達に混ざり、黒色に見える蜻蛉が摂食飛行をしていた。その姿を眺めていると、程なく止まってくれた(画像 1 )。




画像 1 タカネトンボ ♂  


 止まった姿をファインダで捉えどうにか記録撮影が出来た。どうせなら、別角度からも撮らなくてはと思っている間に飛び立ってしまった。1分間ほど止まってくれたが、足場などの諸事情から惜しいことをしてしまった。

 飛ぶ姿は黒色に見えたが、止まった姿は緑色の蜻蛉だった。初見の蜻蛉だが、現地では、エゾトンボ(蝦夷蜻蛉)と直感した。
 帰宅後、画像を頼りに確認すると、エゾトンボではないようだった。




画像 2 タカネトンボ 後翅の様子。後日、画像を修正予定  


 同定の手助けとして、神戸のトンボ(https://www.odonata.jp/)のエゾトンボ科(https://www.odonata.jp/03imago/Corduliidae/index.html)を参考にした。「後翅の肘脈室に横脈が2本」の記述から、エゾトンボ科で間違いはない。
 別角度からの画像がなく難儀したが、結局、書籍「日本のトンボ」P339の♂腹部先端(背面)の図比較により、エゾトンボではなくタカネトンボ(高嶺蜻蛉)とした。

 オコジョを初めて見た日でもあった。野周りフィールドで見かけるニホンイタチよりもはるかに小さいものだった。




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アオイトトンボ 登場

7月2日に訪れたらアオイトトンボ(青糸蜻蛉)が出迎えていた。直前の訪問が6月24日だったが、その時はアオイトトンボの姿はまだなかった。




画像 1 アオイトトンボ ♂  


 出迎えた糸蜻蛉は、体色からしてまだ若いオスだった(画像 1)。

 観察地点に着くと、草につかまる黒色に見えた物体から視線を感じた。撮影してみると、羽化のために定位していた糸蜻蛉のヤゴだった(画像 2)。
 撮影したらヤゴは黒色ではなかった。日陰の場所で、肉眼では黒色に見えたのであろう。このヤゴはこれから羽化するのであろうか。時刻は12時になろうとしていた。




画像 2 アオイトトンボ 定位したヤゴ  


 眼が観察地点の環境に慣れてくると羽化途中や、羽化直後の糸蜻蛉が沢山いるのが見えてきた。羽化殻(うかかく)も沢山目に付いた。
 ただし、羽化途中、羽化直後の個体、そして、羽化殻は草の陰で巧い具合に撮影できるものはなかった。




画像 3 アオイトトンボ 羽化殻  




画像 4 アオイトトンボ 羽化終盤 ♀ 


 草の陰だが、記録できるものはどうにか撮影した(画像 3、 4)。そのうちに、画像 2 のヤゴに変化が感じられた。そこで、羽化の様子を観察することにした。
 
 なお、この稿、画像だけ多くなってしまうので、羽化の様子は別の稿に記す予定。




画像 5 アオイトトンボ 羽化途中 翅がまだ伸びていない♀  


 アオイトトンボの羽化の様子を観察したので、新たな蜻蛉の姿を求めて移動した。しかし、目に付く他の蜻蛉はアキアカネ(秋茜)だけだった。

 移動途中でも羽化途中のアオイトトンボと羽化殻があちこちで見られた。画像 5 は羽化途中のメス。ヤゴから脱皮して、これから翅を伸ばすのであろう。時刻的に羽化終了は16時過ぎになってしまうのであろう。




画像 6 アオイトトンボ 羽化失敗  


 画像 6 のような逆さまな不思議な個体も見た。薄暗い環境であったが、ファインダを覗き、羽化失敗の個体であることが判った。
 複眼の色は兎も角として体色は色付いていたが、腹端部が己の殻から脱皮できない状態だった。体力不足などの要因で羽化に失敗したのであろう。
 翅が異常なのは逆さまで羽を伸ばしたこと因るのだろうと推測した。




画像 7 アオイトトンボ 羽化終盤 ♂  


 帰り際に初めの観察地点を覗くと羽化終盤のオスがいた(画像 7 )。アオイトトンボの羽化後の初飛行を観察していないので、薄暗くなってきたが、あわよくばと思い粘ることにした。
 しかし、翅色に透明感がなく、腹部は締りがない状態で、ちょうど翅が伸びきった状態のようだった。初飛行まではどのくらい待つのだろうか。




画像 8 定位しようとしているアオイトトンボのヤゴ  


 アオイトトンボの羽化終盤のオス(画像 7 )を眺めていると、脇の方で何やら気配がした。気配の方向を眺めると、ヤゴが草の葉を登っていた。定位場所を見定めているようだった(画像 8 )。
 このヤゴ、後に羽化してメスと判ったが、とりあえずの続きは別稿で。
 



画像 9 羽化終盤 ♂ 腹部が締まってきた 


 画像 7 の羽化途中のオス、発見時から1時間20分ほど経ち、腹部が伸びきり、そして、締まっていた(画像 9 )。既に、体型は成虫と変わらないように思えた。
 そして、体色はテネラル(teneral)(*1)そのものであるが、まだ、初飛行の気配は感じられなかった。


 この7月2日は、多くのアオイトトンボのヤゴが時間帯に関係なく、次々に、そして、だらだらと羽化していく様が観察できた日だった。



   --- *1 テネラル(teneral)
 羽化して間もない状態をテネラル(teneral)と呼ぶ。まだ、成熟した姿の体色でなく 、色が薄い状態である。そして、外骨格も翅もまだ固まっていない。




登ってきていたアキアカネ

昨年の8月に蜻蛉観察と避暑を兼ねて訪れた山の湿地だが、予想していた通りでアキアカネ(秋茜)の越夏地でもあった。
 涼しくて心地好い場所なので、不定期だが通い始めた。そして、アキアカネが下りきるまで観察を続けることにした。観察は10月5日のメスの単独産卵が終見だった(*1)。

 今年はアキアカネに関しては初見から終見まで確認するつもりで気合を入れていた。そして、6月24日、アキアカネが登ってきているのを確認(撮影)できた。

 1週前の6月17日にアキアカネらしいトンボ科の蜻蛉を目撃したが、撮影に至らず確認できていなかった。執念で粘れば撮影できたのかもしれないが、運がなかったのだろう。
 アキアカネの羽化場所の野周りフィールドで6月16日が初見だったので、そんなに早く登ってこないという思い込みが強かったので執念深く確認することを怠ってしまった。
 それと、アキアカネなら1匹だけでなく、複数匹は来ているのだろうから、滞在中に他の個体に出遭えるのであろうという甘い思い込みもあった。

 1週前にそんなことがありトンボ科の蜻蛉を目撃し未確認のままにしたら、今回は明確に複数匹のアキアカネいたので、1週前の未確認が後悔になってしまった。




画像 1 アキアカネ ♀ 止まる直前、まだ脚を畳んで飛んでいる 




画像 2 アキアカネ 止まり始め、足を伸ばして止まり始めた  




画像 3 アキアカネ 全脚を使い止り、翅を下げた  


 画像1から3は4秒間の変化で、モデルのメスは同一個体。水滴の残る花柄に止まる様子が記録できた。画像1では目標物の直近まで脚を畳んで飛行。そして、画像2では目標物に到達して、脚を伸ばした。さらに、画像3が、いわゆる棹の先に止まる様子。

 どうでもよいことだが、画像1、2にはアキアカネの目標物であった花柄に水滴が付いているが、画像3では水滴は写っていない。蜻蛉が止まった振動か重量で水滴は落下したのであろう。
 なお、画像の右寄りに写る葉の水滴は変化がなかったようだ。




画像 4 アキアカネ 枝先に止まる ♀  


 画像 4 は別個体のメス。




画像 5 アキアカネ ♂  


 この山の湿地、昨年は8月から通い始めたので、梅雨時の6月の天気の様子は判らない。この日は、午前中は濃霧による視程障害の予報が出ていたが実際はさしたることがなかった。
 当日の梅雨前線の位置から素人判断で出かけたのだが、途中の観察場所でオジロサナエ(尾白早苗)の羽化を観察してしまったので、山への到着は遅くなってしまった。
 そして、霧の晴れ間に、既に登ってきていたアキアカネを確認でた次第であった。

 時々霧に覆われていたが、霧も流れるのでアキアカネと、アキアカネ以外の不均翅亜目の探索を続けた。
 霧の中で摂食飛行をする蜻蛉達は、恐らくはアキアカネなのだろうが、明確には確認できなかった。そんな時に、止まっているアキアカネのオスがいた(画像 5 )。

 しかし、霧の中に雨滴が混じるようになり蜻蛉探索を断念せざるを得なくなった。




画像 6 アキアカネ ♂  


 戻り道、画像 5 のオスは同じ場所に止まっていた。



   --- *1 高地に残留   
 アキアカネはすべてが里に下りるわけでなく、避暑地に残るものもいることが知られている。




冒険者? アジアイトトンボ

2020年に山の観察地での3種目の蜻蛉はアジアイトトンボ(亜細亜糸蜻蛉)のオスだった。6月17日、小さな糸蜻蛉を発見。
 未知の糸蜻蛉ではないかと、わくわくしながらファインダを覗いたが、ローカルでも見られる、既知のアジアイトトンボのオスだった。 




画像 1 アジアイトトンボ ♂  


 


画像 2 アジアイトトンボ ♂は腹部第9節が水色をしている  


 イトトンボ科アオモンイトトンボ属のアジアイトトンボ、この山の湿地に定住しているとは思えない。果たしてどこからやって来たのだろうか。
 また、撮影場所から、画像の体勢はメス待ちの状態。いずれ、メスもやってくるのだろか。

 この稿を執筆している直近の訪問が9月の18日だが、初見日の6月17日以来一度も見かけていない。

   --- 追記 2020年10月10日
 アジアイトトンボを毎年観察している野周りフィールドの溜池での今年の初見は3月28日だった。
 もっとも、その日は当日羽化した未熟なメスだった。そして、4月3日に成熟した体色のオスを確認した。本稿の画像のような体色である。




越冬したホソミオツネントンボ。そして、産卵

6月5日にホソミオツネントンボ(細身越年蜻蛉)のオスを2匹確認した。ホソミオツネントンボは、昨秋に当日羽化の個体を確認しているので、この山で越冬した個体であろう。




画像 1 ホソミオツネントンボ ♂ 




画像 2 ホソミオツネントンボ ♂ 


 ホソミオツネントンボは成虫越冬する蜻蛉として知られている。アオイトトンボ科ホソミオツネントンボ属の蜻蛉で、同科のオツネントンボ(越年蜻蛉)とともに成虫越冬する。
 なお、イトトンボ科ホソミイトトンボ属のホソミイトトンボ(細身糸蜻蛉)も成虫越冬する。3種とも均翅亜目(イトトンボ亜目)のいわゆるイトトンボの仲間である(*1)。
 画像 1と、画像 2は同じように見えるが別個体。ともに、水際の草や枯れ茎で、ひたすらにメスを待っている姿である。




画像 3 ホソミオツネントンボ ♂ 謎の体操 


 帰り際にこの場所を覗くと、腹部の体操をしている個体がいた。謎の動きだが、交尾・産卵に備えてのイメージトレーニングのようなものなのであろう。 

 この日はメスの姿はなかったが、6月10日に連結産卵を確認。そして、7月2日には単独産卵を確認している。




画像 4 6月10日 連結産卵  




画像 5 産卵基質に産卵管を刺そうとするメス  


 6月10日には数組の連結産卵が見られた。よって、メスの姿も確認できた。
 ホソミオツネントンボの標準産卵モードは連結植物内産卵と呼ばれる。そして、産卵基質が水際や水中から生えている茎や葉の細めの植物。




画像 6 風で飛ばされそうになったホソミオツネントンボの連結 




画像 7 風でたなびく産卵基質に産卵中の連結。間もなくして飛ばされた 


 産卵を確認した6月10日は風が強く、全ての連結が産卵基質の植物(草の茎)から産卵途中で引き剥がされるように飛ばされていた。




画像 8 6月17日 ひたすらにメスを待つ 


 次に訪れた6月17日は産卵やメスの姿はなく、オスのひたすらにメスを待つ姿しか確認できなかった。




画像 9 7月2日 メスの単独産卵 


 そして、7月2日、メスの単独産卵を記録した。ちょっと離れていて不鮮明だが植物の葉に産卵している姿が記録できた。別角度からの撮影はできなかった。

 永年定住しているかどうかは不明だが、ホソミオツネントンボは、この山の観察地での定住蜻蛉で間違いないようだ。


   --- *1 参考   成虫で越冬する種
 均翅亜目では成虫で越冬する種が3種知られている。不均翅亜目では成虫越冬は知られていない。
オツネントンボ Sympecma paedisca (Brauer,1877)
 アオイトトンボ科オツネントオンボ属
ホソミオツネントンボ Indolestes peregrinus (Ris, 1916)
 アオイトトンボ科ホソミオツネントンボ属
ホソミイトトンボ Aciagrion migratum (Selys, 1876)
 イトトンボ科ホソミイトトンボ属





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