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Gombessa

植物や昆虫などの生物は和名を表記するように心掛けている。そして、同定については「当たらずといえども遠からず」を目標にしている。

残念だったミヤマサナエ

 ミヤマサナエ(深山早苗)という蜻蛉の存在を知ったのは2019年の8月、この山の湿地での出遭いがあったことによる。
 ミヤマサナエは書籍「日本のトンボ」(文一総合出版)によると、『【生息環境】平地~山地の河川中・下流域。成虫は砂泥底の堰の周辺を好む』とあり、また、『【備考】国内では本州~九州にかけて広く分布するが、発生地はやや限られる。成虫は大きな分散性があり、未成熟個体は山頂付近でもよくみられる(和名の由来)』ともある。
 2019年8月に出遭った個体は、この山の湿地で羽化したものでなく、何処かの河川で羽化したものが登ってきたということになる。

 出遭い後に調べて、そんなことが判ったので、山中を探索してみたがミヤマサナエの姿は見い出すことができなかった。

 そして、2020年。山の湿地を訪れる度に、気にして姿を求めた。が、しかし、ミヤマサナエの姿は見い出せなかった。
 そんなことが続いていたが、8月11日に水死寸前のオスを発見した(画像 1 )。


 

画像 1 ほぼ水没しているミヤマサナエ  

 無い知恵を絞り、四苦八苦しながら、水から掬い上げた。そして、潰さないように持ち歩き、下山前に簡易記録の撮影をした(画像 2~3 )。




画像 2 ミヤマサナエ 翅の様子  




画像 3  体長測定 オスだった。腹部第7~10節の腹面は黒色  


 2019年の初見時は同定に苦労した。今となっては何が決めてだったか判らないが、メガネサナエ属でもなく、ホンサナエ属でもなく、ミヤマサナエ属と同定した。
 その時、ミヤマサナエの腹部第7~10節の横に広がっている部分の腹面は黒色ということを知った。が、初めての出遭いの時は、また遇えるだろうと思い、画像 4 のような撮影しかしなかった。
 そんなことを憶えていたので、画像 3 では「腹部第7~10節の横に広がっている部分の腹面は黒色」を意識して撮影した。

 結局、2020年はこの記事の水死寸前のオスを確認しただけで、この後はミヤマサナエの姿は見い出せなかった。
 2019年の出遭いに始まり、山の湿地で確認した唯一のサナエトンボ科のミヤマサナエの羽化地が気になっている。山の湿地での観察とは別に、羽化地の探索も新たな課題である。




画像 4  参考画像 2019年の出遭い  


 最後に、登場する機会も無いかもしれないので、2019年8月17日の出遭いの画像を貼っておく。




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記憶だけのミヤマアカネ

「山の蜻蛉紀2020」で山の湿地での2020年に確認(記録撮影)した蜻蛉を初見日順に記してきたが、ミヤマアカネ(深山茜)が初見順から漏れてしまった。記録の不備でミヤマアカネの画像データが見つからないのである。
 ミヤマアカネは2019年と2020年の観察から、この湿地の定住蜻蛉ではなく、何かの理由で飛来してきただけの蜻蛉である。と、推測している。

 推測の根拠は以下による。
 別の観察地のことだが、低標高ながらアキアカネ(秋茜)の越夏地があり、アキアカネの群れの中でナツアカネ(夏茜)とともに過ごすミヤマアカネを確認している。個体の都合で避暑をするのだろう。
 また、この山の湿地では、2019年8月に1例1匹だけ(画像 1 )。2020年は記憶頼りだが、2例3匹だけの確認であった。確認数が少なすぎる。




画像 1 ミヤマアカネ 未熟♂ 2019年8月17日  

 以上のことから、ミヤマアカネは飛来してきただけの蜻蛉である。と、推測した。
 ただ、2020年の2例目が交尾・産卵だった。今年(2021年)の観察で、羽化個体、未熟個体や羽化殻でも発見できれば興味深いものがある。

 参考記録として、2019年のマユタテアカネ(眉立茜)の画像も貼っておく(画像 2 )。10月5日に確認した山の湿地で最後の初見種である。その日に雄を2匹確認した。
 なお、2020年は10月21日まで足を運んだが、一度もマユタテアカネの姿を見ることはなかった。
 マユタテアカネも何かの理由で飛来してきただけの蜻蛉であったのであろう。




画像 2 マユタテアカネ 成熟♂ 2019年10月5日  

 2020年のミヤマアカネの画像が発掘できたら、追加で貼るつもりでいる。

   ---   2021年7月13日追記 オオシオカラトンボも目撃
 断片的な記録を眺めていたら、2020年7月2日にオオシオカラトンボを目撃していた。このオオシオカラトンボも何かの理由で飛来してきただけの蜻蛉であったのであろう。その後は姿を見ることもなかった。





意外だったクロイトトンボ

 8月19日、クロイトトンボ(黒糸蜻蛉)のオスを目撃した。




画像 1 クロイトトンボ 成熟したオス  

 イトトンボ科クロイトトンボ属のクロイトトンボはどこにでもいる糸蜻蛉。どこにでもいるといっても、浮葉植物や沈水植物が繁茂する環境が好みということになっている。果たして、この山の湿地の何処かに好みの環境でもあるのだろうか。

 目撃例が♂1匹だけである。推測だが、冒険心の強い個体が新天地と雌を求めて旅してきただけかもしれない。前年(2019年)はクロイトトンボの姿は見ていなかったので、意外に思えた発見であった。





今年もウスバキトンボがやってきた

 8月11日、ウスバキトンボ(薄翅黄蜻蛉)の集団がやって来ていた。ウスバキトンボの確認は前年(2019年)が8月17日だった。
 未だ2年の観察だが、前年並みの飛来日ということになるのだろうか。




画像 1 止まったウスバキトンボ ♀  

 ウスバキトンボは摂食飛行と休息の姿しか見ていない。繁殖行動をする姿は見ていないので、山の湿地や周囲の峰に飛来してくるだけの蜻蛉のようである。
 熱帯系で卵期間と幼虫期間が短く、年に多世代の成虫発生が可能な蜻蛉としてしられている。また、日本国内では冬が暖かいごく一部の地域を除き、幼虫、成虫とも越冬できないということになっている。

 個人的には謎が多く疑問の塊りのような蜻蛉である。普段の野周りフィールドでは初見日(飛来日?)を記録している。その時期が近づくと観察定点へ足を運ばないと気が済まなくなるのである。
 もっとも、終見日もきちんと記録しようと思うのだが、こちらは未整理のままである。終見日の記録は個人的な今後の課題である。


  ---   参考(過去の記事)
 過去に、蜻蛉紀に「我が家に泊まったウスバキトンボの雌」 2017/09/23 Sat. を記したことがある。




シオカラトンボ登場

 2020年8月7日、山の湿地に シオカラトンボ(塩辛蜻蛉)が出現していた。
 この山の湿地は前年(2019年)の8月10日が初訪問であったが、その時、若いシオカラトンボの姿を見い出して驚いた記憶がある。シオカラトンボは普段の野周りフィールドでは4月末頃に姿を現し始める蜻蛉である。




画像 1 シオカラトンボ 未熟なメス  




画像 2 シオカラトンボ 成熟したオス  


 今まで姿を現すこともなく、どこで活動していたのだか、成熟したオスの姿もあった(画像 2 )。




画像 3 当日羽化と思われる未熟なオス  


 かと思えば、当日に羽化したような未熟なオスの姿もあった(画像 3 )。




画像 4 メスの単独産卵 8月14日  


 そんなシオカラトンボだが、8月14日には産卵する姿も観られた。前年も産卵は確認しているので、シオカラトンボはこの山の定住蜻蛉であろう。
 シオカラトンボはどこにでもいる蜻蛉のようである。




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