2015年6月30日、我が家のブロック塀に、体長が、目測で65~70mm程度の蜻蛉がとまっていた。
蜻蛉の観察経験のほとんどない私には未知の蜻蛉だった。
所用で出掛けるまでに時間があったので撮影してみた。
腹部は黒地に黄色の縞。大きめな複眼は薄緑色(灰緑色)。と、ファインダ越しに確認。顕著だったのが、腹端部。蟹の鋏を連想するような付属器。
画像 1 複眼が薄緑色の蜻蛉 後にオナガサナエの未熟な雄と判明
所用を済ませ戻ったのが13:30。彼の蜻蛉は、ブロック塀にとまっていた。
昼食を摂りながら、撮影した画像を頼りに名前(和名)を調べてみた。
複眼の色が疑問だったが、オナガサナエ(尾長早苗 )という早苗蜻蛉の仲間だった。
顕著な腹端部の付属器が決め手になった。この付属器はオナガサナエの雄の特徴であった。
複眼の色については、羽化直後は褐色(赤茶色)であり、成熟するとエメラルドグリーン(澄んだ濃緑色)なるとのこと。
画像のものは薄緑色。腹端部の付属器と併せて、成長過程の未熟な雄。と、いうことで落ち着いた。
画像 2 オナガサナエの複眼と胸部。斜め背面から
13:30にはまだいたが、15:30に見たらいなかった。撮影が、9:30だから、少なくも4時間はとまっていたことになる。
我が家のブロック塀は最寄の林へ移動途中の中宿だったのかも知れない。
画像 3 オナガサナエの雄 腹端部の付属器が目立つ
オナガサナエ(尾長早苗)
トンボ目 トンボ亜目 (不均翅亜目) サナエトンボ科 オナガサナエ属
Melligomphus viridicostus 近年学名が変わったとのこと
Onychogomphus viridicostus 変更前の学名
オナガサナエは、従来、Onychogomphus属だったが、Melligomphus属に含まれるが相応しい。との、研究成果によるものとのこと。
なお、属名の「Melligomphus」も「Onychogomphus」は、日本語表記では、どちらも、オナガサナエ属と表すようである。
我が家で見かけたので、「身近な生物」の記事としたが、オナガサナエは珍客である。
画像 4 オナガサナエの頭部と胸部。背面から
--- 参考 後日談
7月23日に目撃したオナガサナエの雄は体長、 60mm。コンベックスで非接触測定。
顕著な腹端部の付属器もさることながら、複眼のエメラルドグリーンが目を惹いた。成熟した個体である。近くの山から帰ってきたのであろう。
所用で移動途中に、河川に架かる橋で、目撃。
この記事のものより小さめに感じた。個体差であろう。
このときは自転車で移動中。路上に複眼の鮮やかな緑色の蜻蛉が落ちていると思った。複眼の鮮やかな緑色が気になったが、約束の時刻も近付いていた。
一旦は、普通に通り過ぎてしまったが、気になったので戻って確認することにした。その判断を下すまでに自転車は40mほど進んでいた。
路上で目印もなく、10m程度過ぎただけと思い、自転車を転がして戻った。しかし、実際は、40mほど離れていた。無機質の路上に有機質の蜻蛉を見出すまでの40mほどは長い距離に思えた。
動きがなかったので、路上で死んでいるのかと思ったが、頭が動いた。路上にとまっていたのだった。
その蜻蛉は、腹端部の付属器の形状から、憶えたてのオナガサナエの雄と判別できた。
残念ながら、デジカメは持っていなかった。コンベックスは持っていたので体長測定を試みた。
生きている個体なので、接触測定は無理と思えたので、背面方向から非接触で測定。
最終的に、コンベックスは、背面に2、3cmの距離まで寄った。その測定結果が、体長 60mm。
また、オナガサナエには近付けることも実体験できた。
体長測定後、蜻蛉はどうするのかと眺めていた。すると、間もなく、ふいっと飛び去っていた。
なお、当然のことながら、約束の時刻には遅れてしまった。
--- 参考 関連記事(別ブログ)
近くの小高い山で、未成熟のオナガサナエを見た話。「
キアゲハを食うオナガサナエ」。2015年7月12日の記録。
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