2012年5月31日、橋の上から下流を眺めると、およそ50~200mほどの区間の水辺に、鮮やかな紅色の花らしきものが点在しているのが目に付いた。
その辺りは、明らかに放射線量の高い地域なので、私自身で、「入らずの地」と定めていた。
しかし、被曝も2年目ともなると、諦めの気持ちも働いてきた。多少、心の中の葛藤はあったが、鮮やかな紅色の花らしきもの見たさの気持ちが勝り、入らずの地へと足を踏み入れることにした。
入らずの地へと足を踏み入れたのは2012年6月2日のことだった。
鮮やかな紅色の花はムシトリナデシコ(虫取撫子)だった。紅色の花の株の他に、僅かだが、白色の花の株もあった。白色といっても純白ではない。
もっとも、ムシトリナデシコの名は帰宅後、Webで調べて初めて知った次第である。
以前に近所のお宅で見たことのある花だったが、興味もなく名前は調べなかった。ところが、川原で見た植物となると、興味も湧いて、名前が知りたくなるのであった。
何故、水辺にあったのか。その訳は、豪雨か、台風で水嵩(みずかさ)が増したときに、種子が流れ着いたものと推測した。そこで、私は、「流れ着きしムシトリナデシコ」のその後を観察してみたいと思った。
画像 3 鮮やかな紅色の花
画像 4 横姿
花筒が長いように見えるが、顎片が合着して筒状になっているとのこと。
画像 5 粘液
虫取の いわれの粘液。小さな虫が貼りついている。
画像6 白い花
2013年になり、6月、7月と気にして、橋の上から眺めていたのだが、鮮やかな紅色の花はまったく目に付かなかった。
そんな訳なので、絶えてしまったものだと思っていた。
7月27日、水辺まで行く機会があった。そしたら、色が薄いが、見覚えのある花が、かろうじて咲いていた。近づいてみると、果実までできていた。
画像 1 かろうじて咲いていた ムシトリナデシコ
8月3日に訪れたときも、まだ、かろうじて咲いていた。
画像 2 果実・種子も見える
ムシトリナデシコ(虫取撫子)
ナデシコ科マンテマ属
Silene armeria
流れ着きし帰化植物
植物観察を始めて未だ3年目だが、時々、理解できない言葉や名称が出てくる。
その一つが「マンテマ」。何のことやらさっぱり分からず、とても日本語とは思えない。
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とりあえず、今年も川岸で、ムシトリナデシコが見られた記録。
また、ムシトリナデシコは、このブログのカテゴリ「どんぶらこ」を設けるきっかけになった植物でもある。
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