◇7月2日に訪れたらアオイトトンボ(青糸蜻蛉)が出迎えていた。直前の訪問が6月24日だったが、その時はアオイトトンボの姿はまだなかった。
画像 1 アオイトトンボ ♂
出迎えた糸蜻蛉は、体色からしてまだ若いオスだった(画像 1)。
観察地点に着くと、草につかまる黒色に見えた物体から視線を感じた。撮影してみると、羽化のために定位していた糸蜻蛉のヤゴだった(画像 2)。
撮影したらヤゴは黒色ではなかった。日陰の場所で、肉眼では黒色に見えたのであろう。このヤゴはこれから羽化するのであろうか。時刻は12時になろうとしていた。
画像 2 アオイトトンボ 定位したヤゴ
眼が観察地点の環境に慣れてくると羽化途中や、羽化直後の糸蜻蛉が沢山いるのが見えてきた。羽化殻(うかかく)も沢山目に付いた。
ただし、羽化途中、羽化直後の個体、そして、羽化殻は草の陰で巧い具合に撮影できるものはなかった。
画像 3 アオイトトンボ 羽化殻
画像 4 アオイトトンボ 羽化終盤 ♀
草の陰だが、記録できるものはどうにか撮影した(画像 3、 4)。そのうちに、画像 2 のヤゴに変化が感じられた。そこで、羽化の様子を観察することにした。
なお、この稿、画像だけ多くなってしまうので、羽化の様子は別の稿に記す予定。
画像 5 アオイトトンボ 羽化途中 翅がまだ伸びていない♀
アオイトトンボの羽化の様子を観察したので、新たな蜻蛉の姿を求めて移動した。しかし、目に付く他の蜻蛉はアキアカネ(秋茜)だけだった。
移動途中でも羽化途中のアオイトトンボと羽化殻があちこちで見られた。画像 5 は羽化途中のメス。ヤゴから脱皮して、これから翅を伸ばすのであろう。時刻的に羽化終了は16時過ぎになってしまうのであろう。
画像 6 アオイトトンボ 羽化失敗
画像 6 のような逆さまな不思議な個体も見た。薄暗い環境であったが、ファインダを覗き、羽化失敗の個体であることが判った。
複眼の色は兎も角として体色は色付いていたが、腹端部が己の殻から脱皮できない状態だった。体力不足などの要因で羽化に失敗したのであろう。
翅が異常なのは逆さまで羽を伸ばしたこと因るのだろうと推測した。
画像 7 アオイトトンボ 羽化終盤 ♂
帰り際に初めの観察地点を覗くと羽化終盤のオスがいた(画像 7 )。アオイトトンボの羽化後の初飛行を観察していないので、薄暗くなってきたが、あわよくばと思い粘ることにした。
しかし、翅色に透明感がなく、腹部は締りがない状態で、ちょうど翅が伸びきった状態のようだった。初飛行まではどのくらい待つのだろうか。
画像 8 定位しようとしているアオイトトンボのヤゴ
アオイトトンボの羽化終盤のオス(画像 7 )を眺めていると、脇の方で何やら気配がした。気配の方向を眺めると、ヤゴが草の葉を登っていた。定位場所を見定めているようだった(画像 8 )。
このヤゴ、後に羽化してメスと判ったが、とりあえずの続きは別稿で。
画像 9 羽化終盤 ♂ 腹部が締まってきた
画像 7 の羽化途中のオス、発見時から1時間20分ほど経ち、腹部が伸びきり、そして、締まっていた(画像 9 )。既に、体型は成虫と変わらないように思えた。
そして、体色はテネラル(teneral)(*1)そのものであるが、まだ、初飛行の気配は感じられなかった。
この7月2日は、多くのアオイトトンボのヤゴが時間帯に関係なく、次々に、そして、だらだらと羽化していく様が観察できた日だった。
--- *1 テネラル(teneral)
羽化して間もない状態をテネラル(teneral)と呼ぶ。まだ、成熟した姿の体色でなく 、色が薄い状態である。そして、外骨格も翅もまだ固まっていない。
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